不安、ヤキモチ、劣等感、いろいろな思い
今日はまた一つ大切な発見がありました。
いつものように母はテレビを見ていて、わたしは母の隣でお茶を飲んだり、隣に座って洗濯物をたたんだり、家事をしていました。
テレビの画面が予約していた番組にパッと切り替わりました。その番組はBSのQVCのショップチャンネル。アンミカさんのスタイルとファッションが見たくて予約をしていました。
母はいつも「好きな番組があったら見てね、私は見たいのなんかないんだから」といいます。チャンネルも自分ではかえず、かえても何も言いません。なのでそのまま予約していた番組をつけていました。
番組を見ながらホームページでクリックしようと、母の隣でパソコンを開いてどれを買おうかなとチェック。
エ「この人、アンミカさんて言ってすごく好きなんですよ〜おしゃれだし」
母「そうなの〜綺麗な人ねぇ」
母と一緒に楽しく見ていたのですが.....
だんだん元気がなくなり、自虐的な言葉が出てきました。
「わたしなんてずんぐりむっくりで...」
「なに着たって似合わなくて」
顔は笑っていますが様子がおかしい・・・。
そして、
母「悪いんだけどほかの番組に変えてもらっていい?おもしろくないわ」
とおもしろくなさそうに言いました。
エ「ぜんぜんいいですよ^^」
いつものように振舞いチャンネルをかえました。そのあとはいつもと様子がちがいました。
少しでもそばを離れると、
「お兄ちゃん(夫)何時に帰るかな」
「あなたも座ってお茶でも飲んで」
食事を食卓に並べて「ご飯にしましょう」と声をかけると、
「座ってちょうだい、一緒に食べましょう」
と隣にいてほしそうでした。不安そうな表情をすることはあっても、言葉に出して要求するのは初めてのことです。
そして我が家に来て初めて1:00まで起きていました。眠い目を無理やり開けておしゃべりをしていました。灯りを少し暗くして隣にすわり、背中をさすってあげたりしているとようやくベッドに入りました。
眠りについてからは50分後に起きてトイレに行きました。いつもは2、3時間後です。何か落ちつかないのでしょう。一緒にベッドに入って布団をかけ、背中をさすって声をかけると笑顔になって落ちついた様子。
このことで『いつも自分のことを見ていて欲しい』『コンプレックスがある』という母の思いを感じました。
劣等感やさみしさが見えたのです。
いつもそばにいますよ、見ていますよ、という安心感を与えてあげることがとても大切だなと実感した出来事でした。
まとめ
・ 劣等感やさみしさを隠せない
・そばにいる、自信が湧く言葉がけをしよう
リラッスして夜中のトイレ リハビリパンツの効果あり
現在AM2:00。ダイニングテーブルでMacBookに向かっていると母が起きてきてトイレへ。トイレの後、「外を見たいな」と窓辺へ行ってビルを見たり月を見たり楽しそうです。そしてまたベッドへ向かいました。
初めてerika roomに来た日は一晩に7、8回ほど(わたしが気づいただけでも)トイレに行きました。そのたびにトイレに用意してある紙ショーツを履き替えていました。
この紙ショーツはおしっこを2回分吸収できるものですが理解できなく、毎回取り替えていました。
なぜかというと、今までは布のショーツに生理用のパットを使っていたため、すぐ濡れてしまい、布のショーツとパットを持ち歩きその度に交換していたからです。
今までと同じ感覚でトイレに行き紙ショーツを同じように使うので、最初は紙ショーツの消費がすごい量でした。でも見守って観察を続けること数ヶ月。
今では何も言わなくても2回から3回はそのまま履いています。そして尿意を感じるとトイレへ行き間に合うことが多くなりました。まさしくリハビリパンツになったわけです。
本人も気持ちがいいのでしょう、夜中のトイレの回数がかなり減りました。
漏れたらどうしよう、濡れると気持ち悪い、という緊張感が続くとストレスになります。気になって行動範囲も狭くなり引きこもりがちにもなります。
紙ショーツは『安心感』のためにとても大事なアイテムです。
まとめ
快適さはトイレのリハビリになる
朝食の準備
明日の3人分の朝食の準備。
我が家に来てから野菜や薄味のものが多くなり、おやつが少なくなったので明日は義母の好きなパンに苦手なトマトを食べやすく、焼けるピザトーストにします。
カラフルな色に反応し楽しそうに食べる義母。昔ながらの煮物や田舎風料理は意外に興味を示しません。ご飯よりもパン、お味噌汁よりバリエーション豊かな洋風のスープが好きです。彩りをよくして目で楽しんでもらい視覚を刺激、シソで嗅覚、手で食べれば触覚の刺激にもなり、とにかく食べたい欲求から意識をそらせそうです。
材料は、
・チーズ 少々
・トマト 薄切り
・シソをパセリ風に刻んで
・ハム 少々
・生ハム 少々
・胡椒
メイクアップの効果
今日は快晴。窓から見える空と高層ビルや歩く人々に感動していた義母。気分がとても良い様子。
映画を見に行くので洋服を一緒に選びました。軽く口紅でもつけてあげていると、とてもうれしそうだったのでそのままフルメイク。ファンデーション、アイブロウ、アイシャドウ、マスカラ、チーク。どんどん表情が変わり目が輝きます。
鏡を見ては「うわぁきれいだねぇ」「お父さんに見せなきゃね」「みんなびっくりするね」とイキイキしています。そして「ストッキングを履くわ」と言ってわたしにねだりました。
いつも分厚いタイツやスパッツを履きたがっていたので、夫と二人で腰を抜かしました!気持ちが軽くなると行動も軽くなるんですね。
そうしていると髪の毛も気にしだして「美容院に行こうかな、連れてって」と。夫は、さらに腰を抜かしました!
実家に行っても、義母はいつも疲れた疲れたと言って布団から出てこず寝てばかりいたからです。
「初めてこんなにイキイキしたおふくろを見たよ!」と驚きの様子の夫。
認知症が進むと、好奇心がなくなったり怖がりになったりして行動範囲がだんだん狭くなってくることがよくあるようですが、とんでもない。お化粧をしてうれしかったのでしょう、「ねぇまだ出かけないの」と言って出かける準備している私たちをせかすのです。目がキラキラして楽しそうです。
メイクアップは、変身する楽しさと触れられて大事にされている実感が感じられる大切な行為。ハッピーホルモンと言われるオキシトシンホルモンも大量に分泌されたのかもしれません。
その後、品川プリンスホテルの映画館へ映画を見に行きました。映画の後はショーウィンドウに並ぶキラキラしたジュエリーやバッグを見て楽しそう。
夫は映画のあと午後から仕事。別れ際に「おふくろに何かきれいな靴を買ってあげて」と言い残して仕事へ向かいました。お義母さんがきれいになって楽しそうなのがよっぽどうれしかったようです。
せっかく美容院に行きたいという気になってくれたので、鉄は熱いうちに打てとばかりマンションの前にあるサロンを予約。女性の美容師さんで、とお願いしました。義母の隣に座り、雑誌を読みつつ見守ります。
完成したヘアスタイルは顎のラインでカットしてスッキリ小顔に。カットが上手なのでしょう、サイドがきれいに後ろに流れてふんわり。ブローもきれいにしてくれておしゃれなマダムに大変身。
いくつになってもおしゃれは癒されるし、元気の源です。
顔をツヤツヤに明るくするBODY SHOPのお気に入りチーク。まぶたに頬におでこ、顎、色を使い分けてこれ一つでツヤツヤメイクが完成します。
まとめ
メイクアップは積極的に行動するビタミン剤になる
わが家のトイレ
母がいるときはこのカゴとゴミ箱をセットします。
以前はトイレに入るたびに紙ショーツをかえて、1日に何枚も使っていました。でもこのように文字で貼り付けたところ、劇的に減りました。声をかけられるまではこちらから声はかけません。できるだけ本人の意思を尊重します。
この紙ショーツは肌色でまるで下着みたいです。義母も「これ気持ちがいいね〜」ととても喜んでいてお気に入りです。
このゴミ箱はゴムパッキンのようなものが付いていて、ふたを閉めると臭いがあまりしません。開けてショーツをチェックするときはエタノールと水にラベンダーの精油を混ぜたものをシュシュっとスプレーします。トイレがいい香りに包まれます。
以前はゴミの捨て方がわからなく、紙ショーツを外に置いていましたが、これも「ゴミ箱」と書いた紙を貼ってから自分でふたを開けて捨てるようになりました。
そして、使う紙ショーツの量が日に日に減り、トイレも間に合うようになっています。
無理やり改善しようとはまったく思ってませんが、自発的にそうなっているのを見ると人間てほんとおもしろいなと思います。
まとめ
・トイレは肌触り、香りを使って、五感で感じる快適な場所にしよう
朝食
今日の朝食。1日のウォーミングアップ腹八分で。
【メニュー】
・キャベツとカラフルトマトのコールスローサラダのサンドイッチ
・大根とブロッコリースプラウトのお味噌汁
・コーヒー(スキムミルク)
サンドイッチの味付けは、マヨネーズ、オリーブオイル、胡椒(多め)、塩(気持ち程度パラパラ)
トマトの酸味と胡椒がピリッときいています。
オリーブオイルでまろやかさもプラス。
運河を見ながらカフェでおしゃべり
運動を兼ねて自宅近くの運河が見えるカフェに行きました。
お医者さんから、血液の流れが滞らないようにとにかく歩いてくださいとの指導があったので少しでも『歩く』ことを意識しています。
運河沿いのカフェまでは、健康なわたしたちは歩いて5、6分。
母のスピードではどれくらいかかるかな?時計を見つつ周りの景色も楽しみながらウォーキング。約20分ほどかけて到着。
途中、高層ビルやモノレール、流れる運河に驚いたり感動したり。
天気は曇り空で日差しも強くなくてちょうどよく、風が気持ちよさそうでした。
【カフェでの食事】
・コーヒー(薄め)
・ピザ (生地が薄めのマルゲリータを3人で分けて)
・ピクルス少々
マルゲリータをおいしそうに食べていました。
ピクルスはすすめましたが口に合わない様子。体がそうさせるのか味付けの濃いものを好み、体に良い薄味のものや生野菜が好きではありません^^;
運河や船を見ながらおしゃべりをして、かわいい赤ちゃんやワンちゃんに話しかけたりしてとても楽しそうでした。
帰りにスーパーで食材の買い物をしましたが並んでいる商品を見てここも楽しそうです。ショッピングもウィンドーショッピングも好きなので目を輝かせていました。
寝室作り
父の入院で緊急に用意しなくてはいけなくなった母のベッド。
夫婦で使っていたダブルベッドになるイケアのソファベッドを二つに分けることにしました。ベッドを分解し、飛び出て危ない箇所を切ります。そしてリビングで使っていたベンチソファをつけて、高さと長さを母に合わせました。
ベッドパッドの下に薄手の給水用パットとシーツ、かけ布団をセットして完成。不安そうな母の隣は夫のベッドにしました。右側が夫で左が母。
このベッドを、
「お布団も軽くてベッドは楽で気持ちがいいね」
ととても喜んでいます。
実家では咳き込んで眠れないと聞いていたのですが、ぐっすりスヤスヤ気持ちよさそうに眠っています。
何よりもとなりに息子が寝ているという安心感がいちばんです。そして軽くて肌触りの良いシーツと布団。実家では、畳の上で重い毛布と布団を何重にも重ねて寝ていたのでうれしそうでした。
わたしの実家もそうですが、昔の人や家では重くて分厚い布団を使いたがり、これでは寝返りもつらい。83歳の義母ならなおさらでしょう。
カーテンは遮光カーテンにし、物をなるべく置かずにシンプルを心がけ目を休ませます。
今回のことで夫が実家の母の寝室をきれいに整えてあげることになりました。快適な眠りは心身ともに健康への近道です。
まとめ
快適な眠りは安心感と快適な寝室にある
プロフィール・メッセージ
【プロフィール】
東京都在住
家族構成:夫婦ふたりぐらし 時々母と3人
趣味:映画、読書、音楽、絵画
こんにちは、このブログにお越しくださりありがとうございます。
東京都在住。家族は4つ上の飲食店を経営する夫とふたりぐらし。専業主婦の祖母の影響で高校では家政科を専攻、読書好きから大学では文学を専攻。
職歴は、化粧品会社勤務、エステティシャン、フリーのビューティアドバイザーを経て現在に至ります。子供はいません。
不妊治療に3年ほどトライしましたが、ある日突然「子供はつくらないといけないのか?」という疑問が湧き、何かが降ってきたように治療をやめました。
その後は夫婦で、子供をもたずに楽しい人生にしようということで、お互いの趣味と仕事を充実させ気ままに暮らしていました。
父の入院と発覚した母の認知症
そんな中義父の緊急手術と入院により、義母の認知症と糖尿病が進んでいることが発覚しました。現在は自宅から1時間離れた実家に住む義母の介護をしています。
認知症が進行している母に接したとき、その不可解な行動にショックよりも興味がわきました。人間の不思議な一面を見た驚き。
不可解な行動にも本人なりの理由があってその理由がわかるにつれてどんどん興味が湧いたのです。
症状が軽くなり別人になったように元気になる変化にも魅せられました。お化粧をしたとき、体にふれたとき、笑顔を見せたとき、好きな映画を見ているとき......
とっても嬉しそうな顔で、顔と体に透明感が出てくるのを見ると、その変化に驚きます。
試行錯誤の末、介護はわが家に定期的に来てもらうショートステイの介護スタイル(erika room)になりました。完璧にとはいかないまでも、認知症改善につながっています。
その情報をシェアしたくブログを始めました。また、いろんな方と交流し、助け合い、わたしも認知症についての情報をまだまだ得たいと思っています。
認知症の研究はまだ歴史が浅いそうですが、どんなお医者さんより家族がいちばんの研究者です。家族の情報がシェアされ、広がり、認知症についての理解が深まり介護者も認知症の方も住みやすい街になるといいなと願っています。