エステティシャン エリカの認知症ケア『erika room』

エステティシャンエリカのカイゴスタイル

帰りたい病が出たらさりげなく誘導します

ある日、夫が仕事に行っている間の出来事。

キッチンの洗い物をすませようと思い、母には映画を見てもらってその間に片付けをすることにしました。

 

録画してある母の好きなクラシック映画のタイトルを見ながら、どれを見ようか母と選びましたが、

母 「それ見たことあるから他のがいいわ〜」

と、ことごとくお好みに合わない様子。今日は記憶力が絶好調です。

 

ネタがなくなったので、「これならギリギリいけそう、ファッションも楽しめるし」ということで

アメリカン・ハッスル

 

 

を見てもらうこと数十分。退屈しなければいいけど....

 

不安は的中!

 

洗い物をしていると、始まりました。カバンの中をゴソゴソと携帯電話を探し、弟に電話。

 

母 「今ね〜エリカちゃんのとこにいるんだけど、迎えに来てくれない?家の様子を見に行きたいから」(この後2回かける)

 

出ました。帰りたい病です。(自分の居場所がないのではないかという不安から帰りたくなる。何が不安にさせるのかはそのときによってちがうが、ほんのささいな個人的理由が多い。それを見逃さないようにして、パターンを探ります)

 

こんなときは本人のしたいようにしてもらい、家族みんなでさりげなく誘導することになっています。弟になだめられた母はそれでも不安だったようで、

 

母 「私ね、家の様子が心配だからちょっと見に帰ってくるね。あんまり長いこと留守にするとこわいから」(午前中に実家から来ました)

 

と私に声をかけてきました。今日、母はあまり歩いていなかったのでいい散歩になると思い、少しのあいだ付き合うことにしました。

 

 「そうですか〜わかりました^^。じゃあ近くまで送りますね。どうやって帰りますか?」

母 「電車で帰るわ。新宿で降りて家の近くの駅まで行くね」(もちろん帰れません)

 

二人で家を後にし、新宿経由で家の近くの駅まで行くという母の言うとおりに駅に向かいました。向かっているのはいいけど、どうやって帰ったらいいかわからない母は、とても不安そう。母が不安なときのサインがあります。

 

・洋服を着込む(とくに上着やタイツ。今日は真夏日で相当暑かったのに、カーディガンやタイツを着込みました)

・並んで歩くとき、私の腕をギュッと腕をつかむ(腕にあ、跡が...不安が伝わってきます)

 

駅に着き、改札を通り、ホームに着いたところで

「〇〇さんに、お母さんが今から帰ることを電話しますね」

と言って夫に電話をしました。

 

 「今から帰ろうと思って送ってもらってるところなの」

 「じゃあ俺が送っていくから〇〇ちゃん家(私)で待っててよ」

 「そうなの?わかったー。じゃあ待ってるね^^」(早!!)

 

納得した様子の母。改札を出て駅のエスカレータを降りたところで、

「なんだか暑いからカーディガン脱ぐね」

と言ってカーディガンを脱ぎました。安心したようです。

 

駅前にあるカフェの前で立ち止まり、「素敵なカフェね〜お茶でもしましょうおごるから!」と言うのでカフェに入り、ミルクティーとレモンのパウンドケーキをいただきました。そこで話もはずみ、笑顔の母。

 

いい散歩になったとホッとして家に着き部屋に入ったところで、母が帰りたいと言った理由がわかりました。

 

テーブルの上の母用のティーカップが空になっていました.....

 

あぁーこれだったんだ!

映画がイマイチだったのに加え、お茶が飲みたかったんだ。。。

 

「お茶をちょうだい」と言えなかったようです。いつもならちょうどおやつの時間でもあり、甘いものを口に入れている時間。この日は遅めの昼食だったのでおやつを出していませんでした。

 

だからカフェに寄りたいと言ったんだ。週間は体が覚えています。

 

いつもならお茶をちょうだいと言う母ですが、体調が良い日は、私に気をつかうことができるため、お茶が出てこない、長居しちゃいけない、帰らなきゃと気を使ったようです。

 

この日からテーブルの母の前にはお茶やお湯の入ったティーポットとカップの「母茶セット」を必ずセットすることになりました。

 

お医者さんから少しでも歩くよう言われているので散歩にもなり、今日は外出できてよかったです。

 

まとめ

・本人の「今」の気持ちに付き合う。

・本当の気遣いとサイン気遣いを判断し「何が足りないのか」、「何をしたいのか」を探る。